居合道とは
【居合道の意義】
居合の至極は、常に鞘の内に勝を含み、抜かずして天地の万物と和するところにあり。
その目的は、武徳修養の一点に帰するものである。
始祖創剣の妙刀を錬磨して、形より心に入り、技より心を養うとの教えの如く、日本刀により正しい刀法と共に身体の運用を極め、心剣一如の妙を悟り、品格の練成に努め、各人の天職に奉じ、処世の大道を正しく歩むこと。此、即ち真の居合道の意義なり。
【居合道とは】
居合とは立合に相対する言葉で、江戸期に於いては居相・居合術・抜合・抜剣・抜刀術・鞘の中などとも称されていた。
立合が両者相対して行われるものであるのに対し、いついかなる方向からの敵の不意なる攻撃に対しても臨機応変に対処し、居合わせて敵より一瞬早く抜刀しこれを倒す、鞘離れの一刀にて勝負を決める自己防御の刀法である。
詰まりは「居ながらにして合わせる刀法」でありその修得は並大抵のことではない。
更にその奥義は「抜かぬ太刀の功名」との諺の如く、刀を抜くことなく勝利を収めることを旨としている。
その意は、
①話し合いによる解決、並びに平和裡に物事を纏める意識が肝要。
②日頃の修業を通じて、敵に刀を抜かせぬ程の心気を身につけるべし、とのこと
(正にこれこそが、世にいう「活人剣」の極意である)。
されど万が一、やむを得ず刀を抜かねばならぬ事態に至っても、後の先を以て敵を倒すべし。
又可能であらば、機先を制して敵に刀を抜かせず圧することが肝要である。
これを指して「鞘の中」と解する。
【全日本剣道連盟居合】
居合道各流派の基本的なものを抜き出し、これを統合して剣道人にも普及することを目的に、昭和44年に全日本剣道連盟によって、7種の技が制定された。
以降、昭和63年に3種が、そして平成13年度より2種が追加され、現在に至っている。
〔正座の部〕
一 本 目 : 前
二 本 目 : 後ろ
三 本 目 : 受け流し
〔居合膝の部〕
四 本 目 : 柄当て
〔立ち居合の部〕
五 本 目 : 袈裟切り
六 本 目 : 諸手突き
七 本 目 : 三方切り
八 本 目 : 顔面当て
九 本 目 : 添え手突き
十 本 目 : 四方切り
十一本 目 : 総切り
十二本 目 : 抜き打ち
【夢 想 神 伝 流】
居合の始祖:林崎甚助重信を流祖とし、昭和の剣聖:中山博道範士が体系化を成した。
古くは林崎流・林崎夢想流・夢想流等と称されており、戦後に於いても長谷川英信流・大森流等まちまちの流名で呼ばれていたが、昭和40年代に至り中山範士の門流に連なる者は「夢想神伝流」と統一され、今日に及んでいる。
【初伝:大森流】
一.初発刀
二.左刀
三.右刀
四.当刀
五.陰陽進退
六.流刀
七.順刀
八.逆刀
九.勢中刀
十.虎乱刀
十一.逆手陰陽進退
十二.抜刀
【中伝:長谷川英信流】
一.横雲
二.虎一足
三.稲妻
四.浮雲
五.颪
六.岩浪
七.鱗返
八.浪返
九.滝落
十.抜打
【奥伝:居業】
一.霞
二.脛囲
三.四方斬
四.戸詰
五.戸脇
六.棚下
七.両詰
八.虎走
【奥居合:立業】
一.行連
二.連達
三.惣捲
四.総留
五.信夫
六.行違
七.袖摺返
八.門入
九.壁添
十.受流
十一.暇乞(壱)
十二.暇乞(弐)
十三.暇乞(参)
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